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いつだって、私は、
あなたに抱きしめられるのが、好きだった。
あなたのシャツはなんだか、
太陽のにおいがしたの。
干したてのおふとんのような、安心感。
そして、包容力。
実は寂しがり屋の、強がりな私は、
この瞬間がとてつもなく好きだった。
孤独に怯えなくて済む、
あなたのあたたかさを求めていた。
「ねぇ」
だから、このときも私は言った。
「抱きしめてくれる?」
あなたは無言のまま、手を伸ばす。
その手が私の身体に触れた瞬間、
なんだか生暖かいものが溢れてくるのを、
どうしても止められなかった。
だって、知っていたから。
もう、このぬくもりに、
包まれる日は訪れないのだと。
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