第1章 運命が回り始めた

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「随分仲良くなったじゃない?」 「うん。付き合ってみる事にしたんだよな、美香?」 本当に、まどかに見せてあげたい。永倉さんの元カノで、私の親友・関根まどか。確か、3週間で目が覚めたって言ってた気がする。 なんか、ずっと優しく見つめられてるし。手なんか触られて『美香の手、小さっ。俺の手のでかさが際立つなぁ。』なんて可愛らしい独り言聞いてたら、勘違いしそうになる。 「そろそろ、お暇しますか?」 「美香。この際だから、デートしてらっしゃい。」 我が親ながら、仰天な提案を寄越したママ。呆気にとられていたら、永倉さんが阻止してくれた。 「着慣れない晴れ着で、疲れたんじゃない?」 「え?……うん。」 「すみません、白状します。美香さんとお付き合いさせていただいている永倉司と申します。職場も同じで、気が合いまして、しばらく前から交際していました。御報告に伺えず、申し訳ございません。 明日以降でも、デートになるなと思います。」 「そうなの?」 「ああ。母さんに写真見せられたじゃない。あの時、びっくりした。 美香も、びっくりしたみたいだけど。お互い親に紹介してないのが、悪いんだよなって話し合ったばっかり。お気遣いなく。」 なっ?なん…だと…?今、付き合ってるって言った?誰と誰が? ちょっとパニくってる間に、ママや仲人さんまで、永倉さんは騙してた。『お陰で、こんなに綺麗な姿を見れた。』なんて、私を抱きしめてきた。『ね?』って、同意を求められる度に、みんなにはキラキラオーラが見えるみたいだけど、私にはダークなオーラしか見えない。 「あらあら、心配ないのね?」 「もちろん。美香じゃないなら、見合いなんかしないよ。」 「大谷さんに、ご挨拶してらっしゃい。」 「わかってる。」 ぎゃー!おでこにキスされたぁ! 一連の行動は、あまりにも自然で、ママはあんぐり口をあけた。 「あ、お義母さん。すみません、馬鹿な男になってますよね、俺。」 「いいえ、不思議ね。美香って、ベタベタしてくる人が苦手だったのに、永倉さんは別格なのね。」 「甘えん坊ですよ♪」 「みたいね。自分から抱きついちゃってるもの。」 なんですと?うーわぁ、確かに私の腕、永倉さんのウエストあたりに回ってる。恐るべし、永倉司。 .
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