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「随分仲良くなったじゃない?」
「うん。付き合ってみる事にしたんだよな、美香?」
本当に、まどかに見せてあげたい。永倉さんの元カノで、私の親友・関根まどか。確か、3週間で目が覚めたって言ってた気がする。
なんか、ずっと優しく見つめられてるし。手なんか触られて『美香の手、小さっ。俺の手のでかさが際立つなぁ。』なんて可愛らしい独り言聞いてたら、勘違いしそうになる。
「そろそろ、お暇しますか?」
「美香。この際だから、デートしてらっしゃい。」
我が親ながら、仰天な提案を寄越したママ。呆気にとられていたら、永倉さんが阻止してくれた。
「着慣れない晴れ着で、疲れたんじゃない?」
「え?……うん。」
「すみません、白状します。美香さんとお付き合いさせていただいている永倉司と申します。職場も同じで、気が合いまして、しばらく前から交際していました。御報告に伺えず、申し訳ございません。
明日以降でも、デートになるなと思います。」
「そうなの?」
「ああ。母さんに写真見せられたじゃない。あの時、びっくりした。
美香も、びっくりしたみたいだけど。お互い親に紹介してないのが、悪いんだよなって話し合ったばっかり。お気遣いなく。」
なっ?なん…だと…?今、付き合ってるって言った?誰と誰が?
ちょっとパニくってる間に、ママや仲人さんまで、永倉さんは騙してた。『お陰で、こんなに綺麗な姿を見れた。』なんて、私を抱きしめてきた。『ね?』って、同意を求められる度に、みんなにはキラキラオーラが見えるみたいだけど、私にはダークなオーラしか見えない。
「あらあら、心配ないのね?」
「もちろん。美香じゃないなら、見合いなんかしないよ。」
「大谷さんに、ご挨拶してらっしゃい。」
「わかってる。」
ぎゃー!おでこにキスされたぁ!
一連の行動は、あまりにも自然で、ママはあんぐり口をあけた。
「あ、お義母さん。すみません、馬鹿な男になってますよね、俺。」
「いいえ、不思議ね。美香って、ベタベタしてくる人が苦手だったのに、永倉さんは別格なのね。」
「甘えん坊ですよ♪」
「みたいね。自分から抱きついちゃってるもの。」
なんですと?うーわぁ、確かに私の腕、永倉さんのウエストあたりに回ってる。恐るべし、永倉司。
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