第1章 運命が回り始めた

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「はぁ……お前、今日は用事あるって関根に言ってなかった?」 「なんにも知らないで、実家にお呼び出しされていました。」 「見合いの話、聞いてなかったのか?」 「…はい。永倉さんこそ、接待ってボードに書いてましたよね?」 「親戚からの見合いの話なんて、接待みたいなもんだろ。」 その人達が居なくなった途端、態度変わりすぎじゃない? あーあ、どうせ今は、接待の合間の休憩でしょうよ。 「……馬子にも衣装。」 「はい?」 「似合ってんな、着物。」 「どうせ、着物が似合う体型ですよ。」 「褒めてんだから、素直に喜べば可愛いのに。残念なヤツだな、お前。」 いやいや、全然褒め言葉に聞こえないし! 「で?どうする?」 「永倉さんが、断ってくださいっ!私的には、全然構いませんから。」 「付き合ってますって、誤魔化そうぜ。見合い、面倒くさいし。お前も平和な休日、邪魔されたくないだろ?」 会社で女の子達が「セクシー!」って騒ぐリップは、茶碗に着地した。いつもとは違う優しい視線が、私を捉えていた。 ふと庭園見ながら、呟いた。 「巻き込んで、悪かったな……」 「はい?」 ママ達がうるさくて、永倉さんが何を言ったか聞こえなかった。 「……ってか今日は、本当に天気がいいなぁ。美香って、晴れ女?」 サラッと呼び捨て?あんまり自然過ぎて、普通に頷きそうになったじゃない! 「小中高、ずっとイベントは、晴れてます。」 「そっか、羨ましいなぁ。俺、雨男だから。」 「雨の方がいい時もあります。」 「そうか?晴れた方が、いい場合が多いと思うけどなぁ。」 縁側に腰をおろして、永倉さんが庭を眺めてる。私は、少し後ろに私も座った。 「母さん達に見られてたら、美香が恥ずかしがるから。あんまり見ないでやってくれない?」 全然気づいていなかった。静かだなぁと思ったら、ママ達がじーっと永倉さんと私を見ていた。 だから呼び捨てだったんだ……… .
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