14/14
前へ
/14ページ
次へ
彼が不慮の事故で亡くなったのはその数ヵ月後だった。 彼の声で『好き』という言葉は1度も聞けなかった。 だけど気持ちは伝わっていた。 あたしと彼はきっと同じ気持ちだったから。 だけど辛くて辛くて胸が張り裂けそうで……。 あれから2年が経つが、いまだ彼を思いだし悲しくなる時がある。 『大丈夫?』 「大丈夫だよ」 彼の声が聞こえた気がし笑顔でそう答える。 「大丈夫だよ。あたしは大丈夫」 あたしはそう言って満天の星空に浮かぶあの山に微笑んだ。 (終)
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加