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一緒に電車を降りた人たちもそれぞれ家路につき、直ぐに前後に人はいなくなった。
夏の暑さを含んだ空気の中、彰と並んで歩く。
「先輩。大丈夫?」
これが彰の口ぐせ。
そんな口ぐせに顔をあげ「なにが?」と返す。
「足」
彼から言われたその言葉に一瞬足を止めるが「なんのこと?」と直ぐに歩き出す。
そしてそのまま無言で並んで歩いていく。
「先輩」
少し心配そうな声で呼ばれたが、あたしはうつ向いたまま顔をあげられずにいた。
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