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廊下の先にある、古びたドアを開けると、西陽が室内に射し込んでいた。
「川田先輩、一人ですか?」
本に目を落としていた男子生徒がゆっくりと顔を上げた。
「せっかく、入部希望者を連れて来たのに!」
「希望してないわ。」
「…だ、そうだ。試験が近いんだ。冷やかしは止めてくれ春野。」
川田、と呼ばれた先輩は、興味なさそうに視線を戻した。
「確かにアンジュはまだ迷ってる状態ですが、」
「迷ってないわ。」
「川田先輩も部をアピールして下さい。うち、部員少なくて、来年は私一人になっちゃうかもなんですよ!」
そういう訳だったのか。
「俺が留年するよりマシだろ。…だいいち、二人で何が出来るんだ?」
「勝手に頭数に入れないで下さい。ところでマユリ。ここは何の部なの?」
肝心なことを言われてない。
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