1章~念者・九門安寿(くもんあんじゅ)

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「いつから俺は野蛮だ?まあ、いい。…誰だって人前に立つのは緊張するだろうが、慣れれば気にならないし、むしろ快感ですらある。」 この人はまともそうだ。 だけど、人と馴れ合うきはないし、それは危険を意味する。 私はその事を経験で知っている。 「マユリ、誘ってくれてありがとう。川田さんも大事な時間を割いていただいて、すみませんでした。…私には演劇は合わないと思います。では。」 部屋を出ようと、ドアノブをひねった。 その時。 「ひあっ!!…すみません、間違えましたっ!!」 せっかく開けたドアが、無情にも閉められてしまった。 「一瞬、顔を見たけど部員の人かしら?」 「山岡先輩の声だったような…。」 マユリは廊下を覗きこんだ。 「ああ、やっぱり!山岡先輩、ここで合ってますよ!」 部屋を間違えたと思ったのかな。
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