1章~念者・九門安寿(くもんあんじゅ)

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「安寿、まだ起きてるの?」 部屋のドアが薄く開いた。 「ママ…実は今日、学校で知っている人に会ったわ。」 「何ですって…?」 やめておけば良かった。 ママは既に精神が侵されている。 「せっかく引っ越しをしたのに、また、なの?」 出来れば、3年くらいは住み続けたい、と言ったママ。…この街をとても気に入ったと言ってた。 「大丈夫よ。あちらも転勤族で、偶然一緒だっただけ。…私のことを覚えてすらいないし。」 嘘をついた。 マユリが何も知らなければ、それで済むことだから。 彼女から目を離さないでいよう。
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