「やがて開く華」の蕾

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「あたし、先輩の事が好きです」  先輩が目を大きく見開いた。  それから何か言おうと、口を少し開いたのを遮り、あたしは続けた。 「でも、それだけじゃ嫌なんです。あたしが好きなだけじゃ……」  先輩は口を閉じて、またあたしを見つめた。 「だって先輩は、きっとあたしの事、良く知らないでしょ?あたしが今までどうやって育ってきたか。どんな友達がいるか。何が好きで、何が嫌いか。 あたしと付き合った4カ月で、先輩は少しでもあたしの事、分かった?」 「……」  先輩は考え込むような顔をして、あたしから目を逸らした。 「きっと、あんまり分からなかったと思う。先輩といるのは楽しかった。幸せだった。 でも、あたし、先輩の事、ほとんど分からなかったもん……」  それがあたしの、一番の後悔。 「あたしも、先輩の事、ほとんど知ろうとしなかった。一緒に並んで歩くのに精いっぱいだった。そんなんじゃ嫌……」 「紅花ちゃん、そんな事……」 「先輩が今あたしの事をどう思っているのか、あたしには分からない。 けど、あたしの事を知って、あたしの事、本当の意味で好きになってくれたらいいって思う……。だから」
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