高校1年 2月14日

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「おはよ!どうしよ、遅刻する!」  慌てて飛び込んだリビング。 「おはよう。遅かったじゃない。間に合うの?」  と、キッチンのママ。  テーブルの上には、良く焼かれたパンが湯気をたてながら皿の上。  バターの良い匂いが鼻を刺激する。  もしや、蒼葉のバイト先のパン屋さんのパン!?  ああ、美味しそう……。  あたしはそれを横目で眺めながら、テーブルの上のバナナを引っ付かんで口に投げ入れた。 「あ、紅花!?ご飯は?」 「いらない!時間ないもん!」  そのまま出掛けようとリビングを出ると、ちょうど蒼葉がのんびりやって来た所だった。  蒼葉は徒歩通学だから、これからゆっくり支度できるのだ。  自分で選んだ電車通学だけど、こういう時ばっかりは羨ましい。 「先行くね!」  あたしは一声そう言うと、玄関のドアを開くと、脇目もふらず駆け出した。  こんな日に寝坊だなんて、本当、ツイてない。  今日だけは、早めに行って、びっくりさせようと思ったのにな……。
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