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「おはよ!どうしよ、遅刻する!」
慌てて飛び込んだリビング。
「おはよう。遅かったじゃない。間に合うの?」
と、キッチンのママ。
テーブルの上には、良く焼かれたパンが湯気をたてながら皿の上。
バターの良い匂いが鼻を刺激する。
もしや、蒼葉のバイト先のパン屋さんのパン!?
ああ、美味しそう……。
あたしはそれを横目で眺めながら、テーブルの上のバナナを引っ付かんで口に投げ入れた。
「あ、紅花!?ご飯は?」
「いらない!時間ないもん!」
そのまま出掛けようとリビングを出ると、ちょうど蒼葉がのんびりやって来た所だった。
蒼葉は徒歩通学だから、これからゆっくり支度できるのだ。
自分で選んだ電車通学だけど、こういう時ばっかりは羨ましい。
「先行くね!」
あたしは一声そう言うと、玄関のドアを開くと、脇目もふらず駆け出した。
こんな日に寝坊だなんて、本当、ツイてない。
今日だけは、早めに行って、びっくりさせようと思ったのにな……。
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