高校1年 2月14日

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 すっかりバテた顔をしてあたしを呼んだ人物。  それはまだ家にいてゆっくり支度しているはずの蒼葉だった。 「紅花。やっと追い付いた……ハイ、忘れ物」  蒼葉はあたしの所まで来ると、息を切らしたまま手を差し出た。 「え、蒼葉……?」  なんで蒼葉がここに?  不思議に思いつつもその手を見ると。  手の中には、リボンが綺麗に巻かれたあの箱。   「それ、ウソ、あたし忘れてた!?」  あたしは慌てて鞄の中に手を突っ込んだ。 「無い……」  そっか。  あの時テーブルに置いたまま忘れてしまったんだ。 「蒼葉、わざわざ届けてくれたの?ありがとう!てか、蒼葉学校逆方向じゃん。間に合うの?」  始業時間まではまだ余裕があると言っても、ここからではいつもよりももっと時間がかかってしまう。  しかも、あたしと違って運動オンチの蒼葉の事だ。  走って追いかけてきたなら、朝から相当疲れてしまうのに……。  蒼葉はやっと息が整ったようで、あたしを見て言った。 「大丈夫。ゆっくり歩いても30分かからないし。それに……」  そう言いかけて、蒼葉は慌てたように話を逸らした。 「てか、早く行きな。遅刻するよ」  ああ。  そういう事ね。
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