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「ゆきおんな?」
「真っ白な髪に真っ白な着物を着た女のヒトなんだ。美人なんだけど、ふぅ~って息を吹きかけられたら最後、かちんこちんに凍っちまうのさ」
お兄ちゃんがそう言って、ボクの耳にふぅ~と息を吹きかけたので、思わず背筋がぞくぞくっとして、「ひゃあっ」と声が出た。
そんなボクの様子を見て、「お前は怖がりだなぁ」って言ってコンコンと笑った。
「弟をからかうんじゃないの!」
後ろからお姉ちゃんの声がして、僕らは同時に振り向いた。お兄ちゃんはちぇっとバツが悪そうに舌を出すと、そのまま奥の部屋へと行ってしまった。
お兄ちゃんの代わりに、今度はお姉ちゃんがボクの隣に座った。
「何してるの?」
「雪が止まないかなって思って。もう、ずっと外で遊んでない。お家にばっかりいるのは退屈なんだ。だから神様にお願いしてたんだよ」
なるほどねとお姉ちゃんは頷いた。
「大丈夫よ。明日は晴れるらしいわ。天気予報で言ってたもの」
「ホント?」
ホント、ホントとお姉ちゃんは何度も頷いた。お姉ちゃんの首には携帯用のラジオがかかっていた。どうやら天気予報を聞いていたみたいだ。
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