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第1章 命を唄う小鳥たち
何度、月が落ちて太陽が上っただろうか。
何度、季節は移り変わっただろうか。
何度、人の生き死にを見送っただろうか。
長く生きすぎるのも問題だ。
やはりこの世はつまらない。
暇潰しにもなりはしない。
あの頃と何ら変わりはしない人の織り成す業に嫌気がさす。全く、気分が悪い。
鬼神だとか言って祀ったり、何も言っていないというのに生け贄だとか言って娘を寄越す。
丁重に村に帰せば、村人に役立たずと罵られその娘は切られた。
人の命とは儚いものだ。あんなにも容易く奪われてしまう。
しかしその娘を哀れとも思わない己にも吐き気がした。昔はこうではなかったはずなのに、と。
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