第20章 信じていたから

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「い、郁人……っ」 「ダメ?」 「ダメじゃない……けど」 「よかった、もう、待てる気ぜんぜんしないしっ」 そう言いきるか言いきらないうちに、 床に押し倒されてて、 「郁人っここじゃ……」 「うるさい口」 「や……ん」 唇を塞がれて、 言葉を奪われる。 もう言葉なんていらない。 欲しかったものは、目の前にある。 恋い焦がれた人が 自分を求めてくれるこんな幸せはない。 全身からあふれてくる想いは 誰にも止めることなんてできない それは涙の粒となって私の頬を濡らす。 冷たい床と、郁人の重み それが夢でない現実だと物語る。 融けあう二人の想いが 嬉しさと悲しさと愛おしさと、 色んな感情を一色に塗りこめていく。 かけがえのないお互いを求めて……
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