第20章 信じていたから

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式は、ホテルの中庭で行うパ-ティ形式のもので、 いわゆる結婚式の披露宴みたいなもので、 主役の二人を肴に交流する場らしい。 郁人はかかりの人と打ち合わせをしているようだ。 私に気がついて走り寄ってきた。 「仕事抜けられたんだ。」 「うん。エステの時間待ちなの。」 「緊張してる? ホテルの部屋とってあるから休んでていいよ。」 「大丈夫だよ。」 「明日、菜々美が嫌なら、俺一人でもなんとかするし。」 「私を甘やかさないで。」 「甘やかしたいんだ。 菜々美が傍に居てくれるんだったらなんだってするよ。」 「駄目でしょそれ。  私は、郁人の隣に居ても自分の力で立っていたいの。  郁人の奥さんじゃなくて、菜々美個人として。」 「なんか、 逞しいな。」 「そうね、郁人を困らせるほど逞しくなってやるから覚悟してね。」 「はは、楽しみにしてるよ。  けど、今でも十分逞しい気がするけど  これ以上逞しくなったら俺の命もつかな」 「もおっひどいよ」 郁人。笑っているけど、 もしかして本音だったりして、 なんか複雑。
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