第20章 信じていたから

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本当にこんな日が来るなんて、あの頃は思っていたのかな。 -------- 6歳の冬、 おとなしい郁人が、 ケンカした。 私にパパがいないことをからかった子と… 相手は3年生で、 体も大きくて、 ボロボロになった 傷だらけの郁人が私にいったんだよ。 「僕が菜々美を守るから。  僕が菜々美のパパになるよ。」 って、 そんな郁人に、 「パパはいらない。  パパはお空でちゃんと菜々美のことみてくれるんだった。  だから、郁人はパパにはならなくていい。」 そう答えた私に がっかりして泣きだしそうな郁人に、 私は言ったんだ。 「そうだ。  だったら あたしと結婚して。  そしたら、郁人があたしの子どものパパになれるよ。」 今思えば逆プロポ-ズ。 郁人は、 嬉しそうに笑って、 「うん、  菜々美の子どものパパになる。」 って言ったね。
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