第1章

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8月31日になった。ネットゲーム画面の右下に今日の日付と今の時間が表示されているのに目が行く。少しドキッとした。もう夏休みも今日で終わりであることを意味していたので、中々感慨深いものがあった。 何もしていない夏というのは、今までなかったかもしれない。 振り返ってみれば、今回の夏休みはほぼネットゲームしかしていない。外にもほぼ出ていない。月曜日の朝、コンビニに寄り週刊少年ジャンプを立ち読みするときくらいだった。それ以外は外出をしていない。 何かしようとは思った。やっぱり高校生最後の夏ということもあり、何かやりたい、何かをして達成感を得たい・・・とか。でも何もできなかった。何かしようと思えば思うほど、どうせオレには何もできないし、できたとしてもどうせ将来には何の役にもたたないであろうことしかできない、と最初から思ってあきらめていた。 そんなこんなで、もう31日になってしまった。 もうとっくに眠気が襲ってくる時間帯を越していた。目はギンギンである。ゲーム画面を見つめながら、ふと我に返った。夏が終わる・・・?いや、夏が終わろうとオレには別に何も関係ないだろう。また明日から平凡な学生生活が始まるのだ。そう、明日からまた始まる。 パソコンの電源を切ることにした。どうせ31日も何もやることもないが、夏休みの悲壮感を一瞬考えただけで現実逃避していた自分に嫌気がさした。 何やってんだオレは。
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