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暗い暗い夜道の中を、私達は歩いていた。
「お姉ちゃん」
「どうしたの? 響」
右手でつないでいるのは、私と血を分けた姉妹である妹だ。名前を高橋響という。いつもなら元気いっぱいに、そこらじゅうを走り回るようなお転婆娘なのだが、今はとてもおとなしい。
「おなか・・・・・減ったよぉ・・・」
彼女の辛そうな言葉が私の心を削る。急いだほうが良いだろうか?しかし、読み間違いで体力を失ってしまえば、本末転倒だ。一瞬で飢え死にしてしまうことは必須だろう。
「我慢して」
私は疲れがにじむような声で、言葉の鞭を叩く。彼女は小さく愚図りながら、黙りこくる。私は彼女の手を引く力を強める。後ろを見れば、汗と少量の涙が浮かぶ妹の姿が見えるだろう。私はそれを見れば足を止め、安易な休みを取ろうとすることを自覚していた。
彼女からは冷たく無慈悲な姉に見えるかもしれない。しかし、生きることの方が最優先だ。私は彼女を失いたくない。今や、たった一人の家族なのだから。
「もう・・・・歩きたくないぃ・・・」
彼女は辛さを訴える。それによって、私の決心はあっさりと大きく揺らぐ。今は心を鬼にしなくては。
「駄目よ。我慢して」
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