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後ろからしゃっくりが聞こえ、私は思わず振り向いてしまう。いけないと自制心が働くが、時すでに遅しだった。
「ぁ・・・・」
私は前に向き直る。彼女は声を押し殺していたが、泣いていた。目は腫れ、顔は多分赤くなっていたはずだ。
悔しい。私の心の中で、この状況に対する感情がこみあげる。あんなことが無ければ、私達はこんなふうに空腹のまま歩く必要など無かったはずなのに。
そんなことを考えると、私まで涙を流しそうになる。それをグッとこらえるように、私は歩くスピードを自然と上げる。
「ごめんなさい・・・・」
冷たい風が私達の肉体を撫でまわしながら吹き抜ける。私達は無言のまま歩き続ける。すると、小さい光が見える。
「?」
目を凝らして見ると、それは火だった。それの近くにふたつの人影もあるところを見ると生存者だろう。即座に、彼らに助けを求めることにする。
私達は彼らに近づく。彼らは男の大人が2人だった。私は少し尻ごみをするが、お腹に手を当てて辛そうな響のことを考える。すると、迷いなどはすぐに無くなった。
「すみません」
思い切って、ふたりに話しかける。すると、ふたりは顔をこちらに向け、一瞬ギョッとする。
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