2番目のプロローグ(夜)

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まあ、当然だ。味付けしているわけでもない。しかし、今はそんなことを言える状況ではない。 高校の友人や先生、隣家のおばさんや近所の子供達。皆、生きているだろうか。あれが起きてから、もう10ヵ月はたつはずだが、一向に連絡も何も手に入れることが出来ない。 これからどうしようか、考える。これから食べ物を手に入れるには、やはり金がいるだろう。しかし、それを調達するには働くしかないのだが、こんな時に働ける場所があるのか、温室育ちの私には見当がつかない。 男2人はいつの間にか横になっている。寝たのだろうか。響を見ると、彼女も座りながらも瞼が閉じていた。 私は彼女の体を横にし、頬にキスをする。久しぶりにぎりぎり食事といえる食事を取れたことが幸いしたのだろう。疲れをとるために、彼女はすぐに一定の寝息を立て始めた。 私は、それに温かく柔らかいものを感じる。こんな状況で、私は幸せなのかもしれない。普段、様子を見てやれなかった彼女の顔を見られたことに感謝をする。そして、私も睡眠を取ろうとした時、不幸が私の後ろから襲いかかってくる。 「んん!!」 口を閉ざされ、妹の横に私は押し倒された。体の各部に鈍い痛みを感じ、私は顔を歪める。
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