三章

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 三 少女と手紙 それからというもの大内とゲームの話をしながら家路に着いた。 今回俺と大内に渡されたゲームは同じのようで。 あいつとは後でコンタクトを取る事にした。 『オカエリ!オカエリクソヤロー!!』 『ただいま戻りました。』 いつ覚えたか分からない下品な言葉で主人の俺を迎え入れるオウムのセツコ。 三年前に独り身の寂しさに気づき飼い始めたのだが、この有様だ。 『セツコさん、夕飯遅くなってすみません。』 『モウタベタゾ!!オソイ!!』 『えー・・もう一回食べてよ・・・一緒に。』 セツコにとって俺の身分は下らしい。 どっちかというと、俺が飼われてるのか? そんなセツコを横目で見ながらて洗い場に。 『最近セツコさん痩せてませんか?一人で食べたって本当?』 『ダイエットチュウナノダ!コンナニ、コヤシヤガッテ!!』 『何言ってるんですか?そのくらいの方がかわ・・・  ・・誰だ     』 洗面台の鏡越しに人の姿。 それも裸。全裸。 それは少女だった。 『いつ入ってきた』 『    』 無視か。 少女は一歩も動かずこちらを見てくる。 光のない眼差しには人間味をいっさい感じない。 まるで生きているモノじゃないようなその姿 少しづつ 近づいて 触れて 『・・・冷たい・・』 足元に目をやると一枚の紙が落ちていてそれをセツコがつついていた。 拾って書いてある文を読んでみると大森さんからの手紙のようだ。 世田谷くんへ まず今日、君に会えなかった事をお詫びする。すまない。 他のやつからこのゲームを押し付けられただろう。 しかし、もう君に会う事はない。私の作るゲームはこれで終わりだ。 最後に君にプレイしてもらうゲームは絶対クリアしてくれ。 このゲームをクリアすればこのゲームは世の中へ出回る事はないだろう。 同じ過ちを起こさせないためにも君がこのゲームをして消滅させてくれ。 私はしてはいけない事をしてしまった。 探究心により自分自身を破滅させてしまった。 そのソフトは家に行けば作動するようセットしてある。 君自身がプレイしてバグを直してくれ。 私と同じ過ちをしない事を祈るよ。そして本当にすまない。 大森 どういうことだ・・・ バグを俺が直す? 少女と手紙を交互に見た。
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