一章

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 一 ゲーム実況者『がや丸』 『ハイじゃあ、セーブして・・このゲームはこのパートでおしまーい。見てくれてありがとうございました。またねー』 カチッ。 録画ボタンを止めたその右手で頭を掻いた。 ・・・やっと終わった。このゲームは暇つぶしという定義で始めた実況だったが、意外に反響が良かったため続けてきた・・ 『くだらない。どれもこれも新作っていうものはつまらない。作る気あんのか。』 文句を良いながらも更新している自分に腹が立ってマウスを必要以上に押してしまう。 まあ、ファンのためだから仕方がないけど。 世田谷 怜治、男、31の自宅警備員。 そんな警備してないけど、外にもでてるけど。 30にもなってゲーマーだなんて働けよ?って?十分働いてますよ。 いわゆる、高収入内職ってやつ?新作のゲームを何回もプレイする、これ専門の正社員。 呪文ひとつのために1万回もプレイする気の遠くなる作業。でもその作業のお陰でバグのないゲームが世の中に出ている。 『でも、今実況してるの俺がチェックしたやつ・・・』 この世の中矛盾だらけ。俺も、俺の家族も、俺の友達も、同じ実況者も・・・ 俺を裏切りながら抱きついてくる。 そう彼女も、その一人。
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