二章

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 二 新作ゲーム ここは俺の勤めている会社のオフィス。 新作ゲームをとりに来てみたが・・・ 『てか?全然担当さんこないッスねっ!!』 はてさて、いつまでこんなやつと一緒にいれば良いのだろうか。 彼の名は大内 栄江。二十歳の俺と同じここの会社の俺の同僚。 通称『さかえっくす』。パソコン上ではそう名乗っている。 彼も同じような内容で呼ばれたようだ。 同じ実況者として何度か公の場で会ったことはあったが・・・やはり苦手だ。 『それにしても、がや丸さんっ!久しぶりですな?!!まさかこんなトコで会うって思わなかったッスよ!!同僚って言っても家で頼まれた仕事してるだけっすから、まさか同じ日に呼ばれるなんてね!!部屋入ったときがや丸さんいて高鳴ったわー』 『お久しぶりです。あなたはあのイベント以来何一つ変わっていませんね!うるさいですよ、私たちは遊びに来ている訳じゃないんですから。実況中じゃあるまいんですから気を引き締めてください!仕事場ですよ。』 『はーい!ってか?!実況見てくれてるんッスか!?マジ?!』 何も分かってない・・・だめだこりゃ。 しかし彼の言う通り、遅い。もうかれこれ三十分は待っている。 いつもなら担当がソフトを持って来て早く帰ってくれと言わんばかりなはずなのにな・・・ ガチャッ 太った担当と思われる人が顔を真っ青にして勢い良く入って来た。 『あーれっ?!いつもの大森さんじゃないんすか??』 『あ・・ああ!!彼なら・・その・・・と、とととりあえず今日はこれ持って!帰ってくれ!!!』 そういって、そのおじさんは勢い良く出て行った。 追い出す勢いはいつもと変わらないが、今日は違う。 いつも担当は大森さんと言う方だ。ゲーム制作責任者である。 いくらさっさと帰らされると言っても、バグが起きそうな場所を説明し、チェック欄をプリントする位のことはしてくれる。 『何だあれ・・・』 これが事の発端だった。
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