プロローグ

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今日も何時もの様に目が覚めると制服に着替えて洗面所で顔を洗う。 因みに制服は学ランだ、今時かなり珍しい。 それからキッチンに行き朝食の準備、母子家庭の家で有る我が家では朝食は俺の仕事だ。 朝食の準備が出来ると、まるで見計らったかの様に母がリビングへと顔をだす。 「おはよ~、おっ!三満屋のクロワッサンじゃん♪優希良い子だねぇ~大好きだよ!」 そう言ってキスしようとして来る母の顔を掴んで阻止する。 「キスは止めて!お婿さん行けなくなっちゃう!てかオカン顔洗って来いや。」 「何よ~、可愛く無いわね。モテない息子に母の愛を注いであげたのに。ハイハイ洗って来ますよ~だ。」 と、ぶつくさ言って洗面所に向かう母。 頬をぷっくり膨れさせてるが歳を考えろ来年40だろ。まあ全然見えないが、母より姉に見える、詐欺だなあれは。 因みに朝食のメニューはホワイトソースをかけたホウレン草のオムレツにインスタントのコーンスープに母の最近のお気に入りの三満屋のクロワッサンだ。 顔を洗って来た母がテーブルに着きやっと朝食を食べる。 「そう言えば優希、来週から冬休みでしょ~。なんか予定無いの?彼女とスキー旅行とか。」 「無い。受験生に冬休みとか関係ない!それに彼女とか居らん、分かってて聞くなボケ!」 「あ~、母親に対してボケとか言わない!しかし寂しい青春だねぇ。」 「うっ、寂し無いわ!それに正月は田舎帰るんやろ?婆ちゃんが大事な話有る言うてたやん。」 「そう言えば珍しいわよね。母さんが必ず帰って来いなんて。何時もは鬱陶しいから来るなって言うのに。」 「いや、それはオカンだけやろ。俺は何時でも来い、寧ろ家に住めとか言われてんぞ。」 母と祖母は仲が悪い、昔から事有る毎に反抗していた母は高校を卒業すると同時に秋田から東京に出て行き祖母に知らせもせずに結婚し俺を産んだ。 で結局別れて初めて俺を連れ秋田に帰った。 祖母はかなり怒ってたらしいが俺の事はすごく可愛がってくれ秋田から大阪まで年に一度はかならず来てくれる。 祖母も母同様に若く見え、本来還暦を向かえてるのだが40前位に見える。 「まあ母さんは優希が大好きだからねぇ。おっと、ヤバい会社遅れる!じゃ優希行ってきます!」 そう言ってクロワッサン片手に玄関へ向かう母を横目に後片付けし俺も登校の準備をする。
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