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家に着くと、小さい頃からの古いツリーを出して飾り、仏壇の横に添えて電飾の明かりを点けた。
「お父さん、見て?キレイでしょ?」
私は仏壇の小さなフォトスタンド中の父に話しかけた。
「お母さんと買いすぎちゃった」
私が言うと、母がキッチンから料理の乗ったお皿を持ってきた。
「いいじゃないの。二人分よ。望愛はしっかり食べないと。ねえ、お父さん!」
「二人分って言うけど、今は太らないように体重管理が厳しいの!お父さん、お母さんにだまされないでよ」
「騙(ダマ)すなんて人聞きの悪い。親に向かって。ねえ、お父さん。もう、望愛に何とか言ってやって」
私も母も仏壇に目をやった。
耳を澄ませば
本当に父の声が聞こえてくるような気がした。
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