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「…ゆっくり過ごせたか?」
渉さんの車に揺られてもう一つの…私の家に戻る途中だった。
渉さんの運転はやっぱり優しい。
「…はい。ありがとうございました。渉さんはゆっくりできましたか?」
私が聞くと渉さんはすぐには答えずに、少し困ったような顔で前を見つめたままだった。
「…渉さん?」
すると、渉さんは小さく息を漏らす。
「…まいった」
「…何かあったんですか?」
「久々に昼近くまで寝てやろうと思ったのに、寝つきも悪けりゃ、眠れもしねえ」
…それって…
「…もしかして…寂しかったんですか?」
「さ…寂しかねえよ。ずっと一緒だったから狭い感覚に慣れてるだけだ。ベッドが広すぎたのがいけねえんだな…」
「…渉さん、言い訳が…下手です。素直に言えばいいのに」
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