3602人が本棚に入れています
本棚に追加
結婚式が近付くにつれ、
そわそわして…
ドキドキして…
落ち着かないんだと思っていた。
だけど私は
その日をとても楽しみにしながら
とても穏やかな気持ちでいっぱいだった。
式の前日のクリスマスイヴ。
私と渉さんは
婚姻届を記入した。
証人は
会長と…室長にお願いした。
丁寧に書き込んだ届を明日、式に向かう前に提出する予定だった。
遠野家では明日に備えて控えめなイヴを過ごしていた。
久しぶりのみんな揃った夕食。
豪華ではないけれど、いつも通りのあたたかい食事。
「二日間もどんちゃん騒ぎするワケにはいかねえからな」
渉さんが笑った。
「そうですねえ。だから今日は普通にしましたよ。普通に」
そう言って佐和子さんがテーブルに並べてくれたのは
サラダとスープと…
ミートソーススパゲティー。
渉さんはそれを見て…
食前から飲んでいたワインのグラスを…
…静かに置いた。
最初のコメントを投稿しよう!