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―社宅が用意されている―
―駅までは距離があるが、
近くに大きなスーパーがあって、
学校や幼稚園も近い―
―哲夫が育っていくのに
悪い環境じゃない―
―単身赴任はいやだ―
―わたしはいいけど
哲夫がかわいそう―
―行くなら哲夫の物心が
つく前がいい―
不意に哲夫がリビングのドアを開けた。
哲と光子が慌てて会話を止めた。
「どうしたの、哲夫。
寝てなきゃダメじゃないの」
取り乱したように光子が言う。
哲がそっと立ち上がり、
哲夫の目の前でしゃがんだ。
哲夫の目の高さに
自分の目を合わせると、
一言一言ゆっくりと話し始めた。
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