十二

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―社宅が用意されている― ―駅までは距離があるが、 近くに大きなスーパーがあって、 学校や幼稚園も近い― ―哲夫が育っていくのに 悪い環境じゃない― ―単身赴任はいやだ― ―わたしはいいけど 哲夫がかわいそう― ―行くなら哲夫の物心が つく前がいい―  不意に哲夫がリビングのドアを開けた。  哲と光子が慌てて会話を止めた。 「どうしたの、哲夫。 寝てなきゃダメじゃないの」  取り乱したように光子が言う。   哲がそっと立ち上がり、 哲夫の目の前でしゃがんだ。  哲夫の目の高さに 自分の目を合わせると、 一言一言ゆっくりと話し始めた。
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