十二

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「哲夫、パパね、 お仕事の都合で 遠くに行かなきゃいけないんだ。  でも、パパは ママや哲夫と離れたくない。    哲夫、お友達と お別れしなくちゃいけないけど、 一緒に来てくれるかな?」 「そんな話、哲夫にはまだムリよ」  光子に言われ、 それもそうだと立ち上がろうとした哲に、 哲夫ははっきりした口調で言った。 「ボク、パパと一緒に行く。 だから、今日はもう寝ようよ」 ―長男ならもっとしっかりしなさい―  農家のおかみさんの言葉が、 哲夫の心にも深く刻まれ、 山口家の長男としての自覚を 芽生えさせていたのだった。
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