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「哲夫、パパね、
お仕事の都合で
遠くに行かなきゃいけないんだ。
でも、パパは
ママや哲夫と離れたくない。
哲夫、お友達と
お別れしなくちゃいけないけど、
一緒に来てくれるかな?」
「そんな話、哲夫にはまだムリよ」
光子に言われ、
それもそうだと立ち上がろうとした哲に、
哲夫ははっきりした口調で言った。
「ボク、パパと一緒に行く。
だから、今日はもう寝ようよ」
―長男ならもっとしっかりしなさい―
農家のおかみさんの言葉が、
哲夫の心にも深く刻まれ、
山口家の長男としての自覚を
芽生えさせていたのだった。
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