十二

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 山口家の門の前に、 大きなトラックが停まっていた。  哲の姉が、 緑色の制服を着た男たちに あれこれと指示を出している。  哲と光子は、 哲夫を連れて近所に 挨拶に回っていた。  それぞれに 思い思いの言葉をかけられ、 その度に哲たちは頭を下げた。  明日から違う人のものになる家に 戻ってきたとき、 家の前では ミサやひさしたちが待っていた。  親同士が深々と頭を下げ、 記念になりそうな何かを交換している。
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