十二

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 二人の実家もあるこの街に、 もう二度と 帰ってこないわけではないのに、 哲と光子はどことなく しんみりした気分に浸っていた。  どちらからともなく、 三十数年間に及ぶ故郷の思い出話を始めた。  小学生のころ、いじめっ子だったこと。  中学時代の成績やお互いの初恋の相手。  二人の出会いから、 楽しかった思い出の数々。  時には喧嘩したこと、  そして、  結婚式の前日に二人で渡った夫婦橋……。
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