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二人の実家もあるこの街に、
もう二度と
帰ってこないわけではないのに、
哲と光子はどことなく
しんみりした気分に浸っていた。
どちらからともなく、
三十数年間に及ぶ故郷の思い出話を始めた。
小学生のころ、いじめっ子だったこと。
中学時代の成績やお互いの初恋の相手。
二人の出会いから、
楽しかった思い出の数々。
時には喧嘩したこと、
そして、
結婚式の前日に二人で渡った夫婦橋……。
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