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それから午後になると幾分千夏の機嫌も良くなり、
私は後の事をお母さんに頼んで千夏がお昼寝の最中に家を出た。
ハヤテに跨って牧場を抜ける。
私はたまにこうやって息抜きをする。
母と子の二人暮らしはストレスが溜まり、やっぱりそれを発散するには乗馬に限る。
「ヤッホー!!」
私はテンション高めで走り回る。
ハヤテもこの時ばかりはやる気を出して、私にとことん付き合ってくれる。
ドサッと草原のど真ん中で寝転べば、綺麗な青空に吸い込まれそうになる。
千夏が生まれてからの私は充実した日々を過ごしていた。
夏の事は決して忘れたわけじゃないけど、今は子育てに夢中だ。
こんな時母になったんだと実感する。
前よりも強くなってる自分が誇らしい。
今日も清々しい天気に恵まれて、私はあまりの心地よさに途端に睡魔に襲われる。
生い茂る草を美味しそうに食べてるハヤテを横に、私は静かに目を閉じた。
だけどそれも一瞬のうちに邪魔される。
「おい、テメー何寝てんだよ!!」
私はその声にパチリと目を開けると、そこには偉っそうに私を覗き込んでる一人の男。
「寝ちゃ悪い?
昨日は春陽と楽しーい夜を過ごしたから眠くて仕方ないの!」
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