【26】くるみのオトコ

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未婚の私の場合、分娩室で赤ちゃんに会えるのは家族であるお母さんだけ。 お母さんは赤ちゃんを見るなり『あらま!』と声を上げ、服の買い直しだとか何やら一人でブツブツ言っていた。 それから場所を部屋へと移動すると、待ってましたとばかりに二人の姿が見えた。 『胡桃おめでとう!可愛い女の子だったね!』 『おまえにしちゃよく頑張ったじゃん!』 と、同時に声をかけられて、 出産で力を使い果たした私は『ありがと』と一言で纏めた。 ベッドで横になりながら一息付いていると、なぜか二人はソワソワと私を見ている。 私は意味がわからず二人を見上げると、 春陽が待ち切れずに言葉にした。 『疲れてるとこ悪いんだけど…、 さっきの返事、今聞かせてもらっていい?』 『何の返事?』 私はキョトンとしていた。 だって頭が回ってなかった。 『ハッ、ハハッ! 胡桃の奴もう忘れてやんの! こうなりゃもう一度言わなきゃな!』 『僕から言う!』 目の前での二人のやり取りを眺めつつ、徐々に私の頭も冴えてきた。 ハッと思い出した時にはすでに春陽が私の手を取って跪いていた。 .
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