【26】くるみのオトコ

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『胡桃…、僕と家族になろう。 きっと君を幸せにすると誓う。 僕を世界一幸せな夫に…、そして父親にさせて…。 だから僕と結婚してください。』 春陽は真剣そのものだった。 私から目を逸らさず真っ直ぐ真っ直ぐ伝えてくる。 子供の父親になろうとその想いで溢れていた。 何て愛だろう…。 こんなに深く愛されて、私は春陽となら暖かな愛に包まれた日々を送れるだろう…。 だけどゴメン…、春陽ゴメン…。 違うの…。 私の求める未来はそれじゃない。 きっと誰も理解できない。 それがずっと胸の奥に燻っていた。 誰も私を理解できないと…。 春陽はそうっと私の手の甲にキスをして、ゆっくりと立ち上がる。 するとバトンタッチとばかりに今度はナツが私の手を取った。 だけどナツは私の手を強く握るだけで何も言わない。 ビー玉のような瞳を瞬かせて、ただ私を見つめているだけだ。 柔らかな瞳力。 そしてフッと不意に頬を緩めたかと思ったら、いきなりガバッと私に頭を下げた。 『本郷の名は捨てる!! だから俺を平原家に入れてくれっ!!』 .
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