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さて、どうするか
海浜公園の入口で思案していると、一つの人影が目に止まった
ベンチに座り俯いている一人の少女
何の事も無い
特に思う事も構う事もなかったのだが、少女の帯びた空気に少しばかり惹かれ
己れとしては珍しい行動だが、その見知らぬ少女の空いた(左)隣に座って、たい焼きを喰いながら話しかけていた
「そんな暗気(くらき)空気を纏って、どうした?」
「…!?」
隣に己れが居た(座った)事さえ気付かなかったこの少女は、不意に掛けられた声に下げていた顔を上げて驚きの表情をする
「あぐ…辛気…もぐ、臭い面(つら)など…がつがつ、子供(ガキ)のするモノでは…ごくり、ないだろう?」
「…?」
一枚目のたい焼きを咀嚼し飲み下しながら訪(と)うが少女は呆然としたまま固まっているだけだ
「ん、言葉が難しい過ぎたか。…子供(ガキ)がそんな泣きそうな面(つら)して何をしているんだ?」
少しだけ言葉を噛み砕いて再度訪いかける
「…べつになんでもないの」
だが返された答えは少女の不満げな顔付きと抑制された様な定番な言い訳
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