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枯葉が散る、木々の枝に僅かに残る茶色い葉。
金色の髪をした一人の少女は、悲しげに其を見詰める。
サファイアのような瞳に、うっすらと涙を滲ませていた。
「ねぇ、私達はずっと一緒だよ」
フッと、振り向く少女。
「真城瑠璃(シンジョウルリ)あなたは何を望むの?」
寂しげな笑顔、私は彼女の為に無理矢理魅せる精一杯の表情。
日本人特有の黒髪、長く伸びた其れは風に揺れる。
「マリア・リンネ、私は何も望まないわ。だから傍に居て」
瑠璃は、前髪を掻き分けて金色(こんじき)の髪の少女に微笑む。
ザワ、ザワ
風なのか、いや、これは人混みに混じった声。
ザァー、ザァー
時折、入るノイズ音。
映像のように映る記憶。
「マリア、嫌だよ。まだ消えないで!」
ワタシは叫ぶ、人混みをかき分けながら必死で手を伸ばす。
人が撃たれたぞ
騒ぎ立てないで、彼女の声が聴こえないじゃない。
ねぇ、何であなたが消えたの。
「マリアぁあああっ!」
「さようなら、この世界。そして瑠璃……」
少女が地面に倒れる、同時に嗚咽をして言葉を失う瑠璃。
人々はワタシをマリアから引き離す。
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