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つまり、彼女の中には魂が二つ存在していた。
一つはマリア、そして真凛。
人格では無く、各々の人間として彼女達は生きていた。だが真凛は死んだ、正しくは殺された。
けど、体の方は致命傷を負っていたはずだ。なのにどうやってマリアは生き延びていたと、言うのだろう。
迷いが表情に出ていたのか、彼女は黙々と語る。
「どちらかが、エレメンストなら。どうなるか分かるよね」
「そんな、真凛はマリアを庇って死んだの?」
エレメントの力に恵まれたのは、真凛の方だ。其れには確信がある、私を喚んだのは彼女だから。
大型車が通り過ぎる、あの瞬間。真凛が言いたかったのは、あなたの事なのだろうか。
聞き取れない、銃声と車が通過した途端に私は意識を保てなかった。
少女は、横断歩道の向こう側に居て撃たれ。どうなったかは知らない、そのまま時が過ぎて行っただけでその記憶は合間。
「じゃあ、私とマリアは。初対面なの?」
「そうよ。私は少女の中に居た、聖母マリアの魂。何故自分が彼女と一体になっていたかは知らないの……」
多くの子を、救う女神とされたマリア様。その面影はやはり残っていた、そして彼女は驚きの事を口にする。
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