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現れたのは、一筋の光の道、其れはまるで夜空に浮かぶ満月の金色のよう。
白の数多の星よりも、更に強い輝き。
流れ行く、流星群をよりいっそう美しく際立たせている。
「まさか、此処が建物の中何て、誰も思わないね」
「お姉さんは、光属性の能力者何だね!」
少女は純粋にただ笑った、しかし彼女は不安になる。
浮かない表情をする瑠璃、そんな様子に優芽は首を傾げた。
「どうしたの、お姉さん?」
「あっ、ううん。大丈夫、ちょっと昔を思い出してた」
偽物なのに、この空は此所にしか無い、なのに素直に綺麗と歓声をあげたくなる。
プラネタリウム、そう呼ばれる施設を開拓し、町をも造りあげた場所。
未来都市(みらいとし)そう言われる此処も、もう直ぐ閉館となる。
「あっ、そろそろ帰らなきゃ」
本当は帰る居場所何て無い、なのに強がろうと嘘を付く。
優芽は怪訝な表情で私を見詰めると、こう呟く。
「私と同じだよ……」
今にも消え入りそうな、小さな声。彼女は先程とは違い、虚ろな目をしていた。
ビーッ、 ビッーッ
踵を返し、出口に向かおうとした瞬間。突如、非常ブザーが館内に鳴り響く。
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