第1章

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…目を覚ましたら、見知らぬベッドで横になっていた。 女子の試合の声が聞こえてくるので、体育館の医務室のベッドのようだ。 「姫ちゃん起きた!大丈夫?」 「優姫~!生きてるか~?」 「先輩死ぬなら、俺も死にます!」 「お前は1人でさっさと死ね」 「ひでぇ~!」 あれ、そうだ…試合… 「しあぃ…」 声が上手く出ない… 頭がボーッとする 「すまねぇ、あの後デュースまでいったんだけど負けちまった」 「みんなで全国へ行く夢、果たせなくてごめんな」 竜と涼平がそう言ってボクに謝る。 何も悪くないのに。 今まで一生懸命練習してきて、みんなで色々考えて、仲良くなって… 悪いのは、倒れてしまったボクだ。 「いや、竜たちは悪くないよ… 悪いのはボクだ。ごめん、みんな…」 あれ、涙が出てくる。 ボク、こんな涙もろくないのに。 ほとんど泣いたことないのに。 なんか体が変な感じするけど、今は悔しさと申し訳なさでいっぱいだった。 「優姫は悪くないよ」 「フルセットまでいけたのは優姫のお陰じゃん!」 「準優勝でも十分さ!」 みんなはそうやって笑うけど、やっぱり悔しい顔してるよ。 優奈は普通に泣いてるけど… 「表彰式は無理して出なくていいぞ」 「ゆっくり休めよ」 竜と涼平の長男コンビ(涼平は次男だが)がボクに気を遣って休ませてくれた。 確かに、今日はちょっと無理そう。 昨日まで元気だったのに、なんで今日… ガチャリ なんだかんだ言っていたら、医務室に誰か入ってきた。 顔を見たら、父さんと母さん、夢夏と… 昨日会った、永井さんと佐々木さんが来た。
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