星蛇

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――あ? ハァ? 困惑を隠しきれない。この馬鹿共が、何を喋っているのかさえ理解出来なかった。別の世界の言葉を話しているとすら、錯覚してしまう。 しかし、スーの困惑を他所に、生徒達の会話は異様な盛り上がりを見せていた。その様は、ある種、格闘技での名試合を語るものと奇妙に重なる。 「てか、ソボラン星人の時は俺達もビックリしたよ……三十二の銀河を支配するだけの実力を持っている、とか言い出したのにな」 「一番の実力者は、確か何分の一秒で終わったんだっけ?」 「計測出来る訳ねぇだろ……地面に降り立つ前に死んだんだから」 「てか、一番酷かったはアレだろうが!! 召還獣逃亡事件!!」 「あー、確かに。ケイトなんか召還獣と滅茶苦茶の大恋愛してたってのに、『実家に帰らせていただきます』宣言だもんな……」 「いやいや、伝説に残るのはやっぱりランド消滅事件だっての!!」 「唯一神降臨からの逃亡を語るべきだろ? 転校生君にもちゃんと聞かせてやらなきゃよ」 笑みを交えながら入り乱れる会話の数々に、スーは全く付いていけない。怒りや呆れを通り越し、自分が何を感じればいいのかすらも分からなかった。 いや、一つだけ理解出来るとするのならば―――― ドラグ・フォーリスという男は、ここの生徒達に力を微塵たりとも隠そうとしていない事か。 尤も、彼等の言葉の全てにドラグが関与していれば、の話だが。 ――俺は、一体どこに迷い込んじまったって言うんだ? 楽しげな空気の中、ただ一人孤立するスー。困惑の渦に呑み込まれた少年は、整理出来ない情報を脳内に抱えたまま、ふらふらと歩みを進めていく。 同じ頃、あのライトが自分と同じようにして脳内の疑問符に埋め尽くされているなどと露知らず。 ◇◇◇
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