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――だとしたら、これは凄い面白いだろうよ。
――この女が平凡だとしたら……この国にとって雑魚だとするんならよ……俺、本気出しちゃうぜ?
脳裏に映るのは、空虚な表情を浮かべるライト。
もしもこの空間が、このランドが怪物達を育成する場所だというのならば――
きっとライトの世界にも色が映えるかもしれない。そして、自分にも――退屈でしかない世界から逃れられる。そんな期待が、スーの全身に漲っていく。
だが、そんな高揚に水を挿すように――傍らの少女は紫煙と共に溜息を吐き出した。
「……何だよ」
「えー、僕ちんじゃ駄目かな……ってさ」
「ア? どういう事だよ、お前。てか、僕ちんとか止めろよ。年齢だって変わらないように見えるぞ」
「うーん、ごめんごめん。でもさぁ、何か駄目な訳よ……僕ちんが何か凄い事に期待してるような顔してるじゃん? でもそれが駄目なんだよね、私からすれば……"そういう顔はよく見慣れてるから"」
「訳分からん、電波女かよ」
これ以上この女と会話を交わすつもりは無い。自分の高揚と安寧を邪魔した女を忌々しく睨んでから、スーは立ち上がったのだが、
「自分が最強」
たったの一言。
もしかしたら単純な独り言だったのかもしれないが、その言葉はスーの全身を凍らせるに十分な威力を誇っていた。
「そう思ってるんじゃないの? 僕ちん」
「……お前、何者だ?」
思考が凍りつく。スー・ゼラムの思考がギチギチと。ガチガチと違う何かに変化していく。
徐々にスーがスタージャ第二位『召還王』としての思考に切り替わっていく中、背後の少女は薄く微笑むだけ。スーから滲み出る殺気は、自分を容易く殺すであろうと理解しながら。
「まぁるで駄目。もう本当に駄目駄目だよ、アレアレ、私も何気に期待してたんだよね……編入生が来るって聞いて。あの悪名高きスタージャからグラバラスにスパイに来るって聞いてさ」
その言葉が終わるか否か。
スーの全身は、時間を巻き戻したかのように女の下へと向かう。
ただ違う所は、先刻までの苛立ちとは別に完全な殺意を携えていた所なのだが。そして、彼の手刀は少女を真っ二つに切り裂こうとし――――
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