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「おいおい、ここで死ぬんじゃねぇよ……」
「え……」
両親も死に、天涯孤独の身になって早くも数年。
学校で苛められ、人生が嫌になって誰もいないビルの屋上から飛び降りて自殺をしようとした時、そんな声が聞こえてきた。
誰だろう、と思って振り向くと――――そこにはジャージを着た男の人が立っていた。
わっ、すっごいイケメン……いいなぁ。これだけ格好良かったら、苛められないんだろうなぁ。
……どうせ、僕なんて。
「いいですよね、あなたは……僕と同じ高校生ですか?いいですよね、格好いいと苛められなくて……」
「ん?え、ちょっ……お前、俺のこと見えてるの?」
「え?」
「え?」
見えてるって……何が?
「あの……?」
「おいおい、マジかおい。お前さん、“俺が見えている”んだな?」
「はぁ……そりゃ、そうですけど……」
確かに僕はメガネをしないと全く見えないほど目が悪いけど、人が見えないほどじゃない。
この人、電波さん?
「そっかー……ふむ、これも何かの縁だな」
「あの、さっきからなんです?からかってるなら――――」
「ヒャッホーウ!」
「え――――う、浮いてる……?」
「ヒァウィゴー!だって俺、死んでるもんwwwwww」
さっさと死にたいなぁ、とか思っていると、男の人は屋上から飛び降りたが――――そのまま落ちることなくふわふわと浮いていた。
え、し、死んでるって……それって、つまり……。
「幽霊……?」
「ザッツラーイ!フハハハハハハ!驚いたか少年!いやぁ、まさか幽霊である俺を見れるとかパネェなwwwww」
と、笑いながら僕の周りを飛ぶ男の人。
正直、鬱陶しい。
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