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「ま、これも何かの縁だ少年。お兄さんに自殺する理由を話してみそ?」
「……いいですよ、別に。どうせ、くだらないことですし」
「まぁまぁ、そういうなって。とりあえず名前はなんぞ?ほれゆうてみぃ?」
「…………不破、龍聖」
「――――!」
しつこいなぁ、とか思いながらも、なんだか自殺する気分じゃなくなったのでその場に座って名前を告げる。
すると、男の人は驚いた顔で僕を見てきた。
はいはい、変な名前だって言いたいんでしょ。
「変な名前だと思ってるでしょ……」
「いや……いい名前じゃん」
「嘘ばっかり。で、お兄さんは?」
「お兄さん…………俺は……えっと、うーんと…………神崎だ!」
今、うーんと、って言わなかった?
「嘘だよね。今考えたよね?」
「いやいや、マジだよマジ。でじまでじま」
「ま、そういうことにしておきますよ……下の名前は?」
「天照大御神」
「日本神話ですか。というか、女性じゃないですか」
「お前ツッコミ鋭いな」
伊達に本を読んでませんもん。
「まぁ、いいじゃんか、神崎で。で、ほれほれ、自殺する理由は?イジメかな?」
「……」
「あっ……(察し)」
僕の隣に座ってきて肘を突きながら問いかけられたので無言でいると、何か悟ったかのような顔になった。
ああ、そうですよね。僕、苛めやすい顔をしてますもんね。
「そっかぁ、イジメかぁ……」
「両親も3年前に死んだし、祖父母も遠いところにいるから実質一人ですしね。死んだほうがマシ――――あだっ!え、殴った……?」
「死んだ方がいいとかいうんじゃねぇ、バカ野郎」
拳を握り、そう言う神崎さんの顔は怖かった。
え、というか……え?殴れるの?幽霊なのに触れるの?
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