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「龍聖。あのな……死んでもいいことなんて一つもねぇんだぞ?」
「けど、僕は一人で……誰も、助けてくれないし……一人、だから…………もう、死にたいんです」
「……」
「あの、もしかしたら死んだ後にお世話になるかもしれないんで、その時はよろしくお願い――――」
「辛かったんだな、龍聖……」
そろそろ死のうかな、と思って立ち上がった瞬間――――神崎さんが後ろから僕を抱きしめてきた。
あれ……なんだろう。懐かしいような、気がする……。
「俺が言っても説得力は無いかもしれんが……生きていれば、きっといいことがある」
「無いですよ……」
「お前に足りないのは“覚悟”と“勇気”だ。だけど今のお前はその二つを踏み出せないでいる。だからな――――」
「……」
そして、神崎さんは言った。
「――――俺がお前のスタンドになってやんよぉ!」
意味が分からなかった。
「スタ……は?」
「ふっ、任せろ龍聖。この俺が憑いてやるからには、イジメなんて自分よりも弱いやつしか相手にできない弱者がやる行い、すぐに取っ払ってやる」
「え、あの……」
「よーし、そうと決まったら家に帰って復讐の計画だぁ!さぁ行くぞ龍聖!俺のことは兄貴、もしくはマスターと呼べ!」
「あの、ちょっ」
「ほら行くぞ!もたもたするなぁ!」
「あ、はい!」
訳が分からないまま、神崎さんの意味不明なテンションに釣られた僕は、鞄を持って後を追いかける。
……あれ?僕、自殺しに来たんだよね?
……なんで、幽霊に憑りつかれてるの?
これが僕と神崎さんの出会いだった。
だけどまさか……これからあんなことが起きるなんて、予想もしていなかった。
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