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向かいの個室から漏れ聞こえてきた笑い声も、
ぴしゃりとシャットアウト。
一瞬ゆるんだ緊張は、また元通り。
つばを飲み込む音さえ聞かれてしまいそうで落ち着かない。
そのとき、
海斗君の上着から振動音が聞こえてきた。
「蓮か」
ポケットからスマホを取り出した海斗君は、電話に出る前にそう呟いた。
きっと、仕事が終わった連絡だ!
やっとこの空気から解放される。
そう喜んだのも束の間。
「あ、サオリが?
あー、そりゃそうだろな。
つーか終わってたらビビるわ」
机にもたれ、
魚の形をした箸置きを触りながら話している海斗君。
どうやらサオリさんはまだ終わってないらしい。
海斗君と同じく、
そりゃそーだ。
と心の中で呟いた。
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