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「あぁ」
チーン。
一言で会話終了。
えぇっ、終わり?
電話の内容は?
遅れるなら遅れるで、あたしに伝えたりしないの!?
とは思ったものの。
教えてくださいと下手に出るのは癪だ。
おそらく電話の内容は、
サオリさんのパーマを手伝うから遅れるって事だろう。
90%以上の確率でそうだ。
それしかない。
読みが当たっているか答えが気になりつつも、
あたしは前のめりになっていた姿勢を元に戻して、
オレンジジュースに口を付けた。
「失礼しまーす!
造りの盛り合わせでーす!」
襖を開けた後で、失礼します。
なんてぬかす陽気な店員さんが、
小粒の氷が山盛りになった桶に盛り付けられている造りを
机に置いた。
「うわ、豪華……」
桶の底が机に当たったときの
重々しい音を耳に感じつつ、
照明を受けてキラキラと澄んだ光りを放つ銀世界に釘付けになった。
お刺身の奥には
垣根を模した飾りが氷に突き刺さっていて、
飾り切りされたきゅうりや人参、
真っ赤なラディッシュが、
マグロ、サーモンなどの造り5種を
色目もよく華やかに彩っている。
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