171人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
あたしは耳が痛くなってきて、
アシスタントさんに洗濯室に行くと告げてから、
カウンターを離れた。
ココは基本的にあたしがいなくても回る。
あたしが採用されるまで、
電話番、雑用、レジは、
皆で分担してやっていたらしいのだ。
良く言えば、
あたしがカウンターを離れても、
変わりの誰かが電話を受けたり、
レジを担当してくれるということだけれど……。
悪く言えば、
あたしは必要とされていない。
仕事でも、
恋愛でも、
いないよりマシってポジション。
「はあ」
ため息を吐き出し、
乾燥機を開けた。
タオルを畳むのは割りと好きだけれど、
よく考えればこれに技術は必要ない。
誰でも出来る仕事だ。
あたし、このままでいいのかな……。
ふと、そんなことを思ってみるけれど、
だからといって将来に目標がある訳でもないし、
やりたいことがあるわけでもない。
最初のコメントを投稿しよう!