几帳面vsマイペース

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「山ちゃーん? あ、居た!」 タオルを畳んでいると、 背中のドアが開いた。 呼び方と声で、 振り返る前から蓮君だと分かった。 「はい、何ですか?」 「あのさー、 ご飯19時に行こうって約束したじゃん? 俺もサオリちゃんも19時は無理っぽいんだよね」 ですよね。 残念だけど今日は行けないですね。 と、 考えておいた言葉を口に出すため、 残念そうな顔を作る。 心の中では、 よしよし、 と思っているのだけれど。 「でさ、海斗と2人で先に行ってくれる?」 「ですよね。ざ……」 ん? いま……なんて言った……? 「いやー、 今日も早く終われると思ってたからさー。 居酒屋に予約入れちゃったんだよね。 サオリちゃんが刺身食べたいって言うから、 盛り合わせ作っといてって言っちゃったしさー。 山ちゃん独りで待つよりいいでしょ?」 「え……」 疑いを持たない無垢な笑顔の蓮君が悪魔に見えた。
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