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本気?(三)
けれど、あたしの唇は無事だった。
キスまでの距離わずか5cmという寸止めで、
海斗君が体を起こした。
「されると思った?」
「あ、あたりまえじゃん。
今みたいなことされたら――」
「見ぃ~ちゃった」
突然、海斗君の後ろから茶目っ気のある落ち着いた声が聞こえた。
キョウさんがあたしに頼んでいたコーヒーを取りにきたのだ。
さっきは時間に追われた厳しい顔を見せていたのに、
今は束の間の息抜きのような休憩時の顔で、
壁に半身を隠していたずらな笑顔を見せている。
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