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あ……。
海斗君の顔が鼻先にある。
かすかにシャンプーの香りが感じられるほどの近距離で目が合った。
もしかしたら、
あたしは単に怖いだけで
海斗君から逃れられないんじゃないかもしれない。
自分というものを確かに持った、
揺るがない、動じない心が強く表れているプライドの高い瞳に、
あたしにはない強さを感じているのは確かだ。
生き方というか人間そのものが、
海斗君が正しくてあたしが間違っていると思わせられるほど海斗君の目に強い光があるから、
だから動けないのかもしれない。
「気をつけろよ。これ洗い直しな」
海斗君は目を逸らすと、
立ち上がってタオルを洗濯機に入れた。
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